静岡わかもの党

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国際関係学部 津富宏研究室


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参考文献・資料

静岡わかもの党が活動の中で参考にしたり、勉強材料として扱った書籍や文献を紹介していきます。

海賊党の思想:フリーダウンロードと液体民主主義

著者:浜本 隆志

出版社:白水社

(2013年出版)

海賊党の思想 浜本隆志著

この本は、2006年にヨーロッパで活動を開始した「海賊党」という存在に焦点を当て、その活動履歴やイデオロギー、将来像などについて書かれた本です。
 
海賊党が発足した原点には、反ACAT運動があります。
これは、ACAT(模倣品・海賊版拡散防止条約)の締結に反対した若者が自由なインターネット利用を訴えたもので、そこから次第に、活動は若者を中心に支持を集めヨーロッパ議会やドイツ議会などで議席を獲得していくようになっていきました。
(ちなみに、ヨーロッパでは海賊は社会風刺・アウトロー・自由・ロマンの象徴としてとらえられ、トリックスターとして現行の制度を揶揄する存在と認識されるそうです)
 
海賊党の主張の一つに「液体民主主義」というものがあります。
これは、間接民主主義と直接民主主義をインターネットを利用することで融合させ、双方の利点を活かした政治を目指す、というものです。
どういうことかというと、党員は党の政策案についてインターネット上でいつでも意見を賛成/反対の意思表示をしたり、意見を述べることができるというもので、その採決の結果により、実際に政党の政策が決まっていく、というものです。
この制度の最大のメリットは、普段は選挙の時にしか真剣に考えることがない政治を、日常の中に組み込むことができるという点です。
 
この本を読んだ中で大事だと思ったのが、「政治を日常化する」ということです。
日本では、政治はどうしても選挙の時のトピックスにしかならない傾向があるんじゃないかと感じています。
でも、本当はそうじゃなくて、政治や社会のことを考えることは、日常の一部であるべきなんじゃないかなと、この本を読んで思いました。
 
もうひとつ、海賊党の特徴には「若者の支持者が多い」ということがあります。それは、メインツールがインターネットであることを鑑みれば当然なのかもしれませんが、ネット世代と言われる若者世代にとって、インターネットを有効活用できるこのシステムは「あっている」のかもしれません。
 
もちろん、制度には不備も問題点もあるそうで、そっくりそのまま世界中でやっていけるものではありませんが、政治の形の一つとして、また若者が社会を変えていく力になっている一つの例として、学んでいくべき点はたくさんありそうだなと思いました。(岡本)